昨日は【土用丑の日】
毎年全国どの飲食店・デパ地下・スーパーも蒲焼一色という一日だ。
そもそも【土用丑の日】に鰻を食すのは何故?
という疑問に関しては、テレビや雑誌・WEB上などで語られているのでここでは省くが、平賀源内という人物、名うてのマーケターだったのだろう。
今の時代であれば、
D通や博〇堂のエースと呼ばれる切れ者だったかもしれない(笑)
というわけで、今回の【食べある記】は鰻である。
といきたいが、そんなベタな話では芸がない。
今回はすき焼きである。
すき焼きをたまごにつけて食す習慣のない人もいるらしいが、
私にとって生卵なしのすき焼きはあり得ない。
熱々の牛肉を生卵につけて・・・まさにウホウホである。
それはともかく
【中洲ちんや】である
皆の中にも、行ったことがある、もしくは耳にしたことのある人もいるだろう。
福岡ですき焼きを食すなら、誰が何と言おうと【中洲ちんや】だった。
東京で極上と言われるどの店より、美味くて、安くて、20代半ばから約30年に渡って贔屓にしてきた私一押しの店である。
悲しい事に、昨日71年の歴史に幕を下ろした。https://www.nishinippon.co.jp/item/n/528301/
ここ数年すっかりご無沙汰していた。というのも、とろけるような極上の牛肉を、余り欲しなくなったせいだ。
だが最後にもう一度と、先週から予約を試みたものの残念ながら叶わなかった。
毎日お昼の行列は最大3時間待ち、夜は予約で満席。
もうあの至福の時を過ごすことはできないんだとあきらめていたが、知人から驚きの情報が寄せられた。
「今日、すき焼き丼(ランチタイム名物)は提供してないので、鍋だったらどうぞ」と待つことなく案内されたというのだ。
このチャンスを逃してなるものかと、その後の予定をぜーんぶキャンセルして、直行である。
奇跡以外のなにものでもない。
しかし、出てきたすき焼きをムホムホ食べることはできなかった。
色んな思いが駆け巡り、胸いっぱいになったのである。
そう、泣き虫オヤジの登場である。
(おかげで肝心の写真が全く撮れなかった・・・)
なんとか堪えて勘定を済ませたが、帰り際女将と話し始めたら、ダメだった。
見送ってくれた女将の顔をまともに見ることができぬまま、店を後にする。
「女将、本当にごめんなさい。そしてありがとうございました」
いい歳したオヤジが本当に情けない・・・
振り返れば、ここ数年、長年贔屓にしてきた店の閉店が続いている。
そりゃぁそうだ。
20・30代から通っていれば、大将や女将、シェフが70を超えて引退を考えてもなんら不思議ではない。
私は【中洲ちんや】を筆頭に、カテゴリー別に贔屓の店が決まっている。
新規開拓にいそしむ事もない。
妙なところにこだわる性格だから、自分でセレクトできる場合、浮気をすることはないし、ミシュランをはじめとするグルメ本もあてにしない。
話題の行列店であっても、ほとんど気に留めないし、自ら行ってみようなどとも思わない。
おかげで長年、女子には不評である。
食事に誘われても、いつも同じ店ばかりだと・・・
定食・和食・鍋・イタリアン・麺類等、どのジャンルでも(高級店はほとんどない)だいたいきまっているが、【中洲ちんや】だけは別格だった。
一般的に勝負飯?と言えば、希少な日本酒と寿司や和食、はたまた高級ワインやシャンパンでフレンチかもしれないが、私は【中洲ちんや】と決めていた。
私を表舞台へ引っ張り上げてくれた今は亡き恩人と、口説きたい意中の女性と、どうしても取引をまとめたい商談相手と、そして、誰よりも怖い師匠と、何度この暖簾をくぐっただろう。
女将にも仲居のお姉さま方にも随分可愛がってもらった。
本当に残念で悲しいが、良い思い出として、大事にしまっておく事にする。
だが、はたと気づいた。
この先、勝負する時?、すき焼きを食べたくなった時、私はどうすればいいのだろう。
またひとつ悩みが増えてしまった。
そんな事に悩む暇があるなら、「同窓会の準備に集中しろよ!」とお叱りを受けそうなので、ここらで【食べある記】を〆たい。
しか~し、「全然【食べある記】になってない!」とのお声に応えて???
福岡市内で私一押しのうなぎ屋を紹介しておく
天神・博多駅からは少し離れるが、【うなぎ処 山道】
福岡市中央区薬院4-3-10 1F
092-753-6102
行列嫌いな私は、うな重弁当で【おひとり様土用丑の日ディナー】である。
「なんだ結局、鰻じゃねぇか!」とのツッコミはご勘弁を
追加画像(閉店後の記念撮影・みささんのツイッターより)
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